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2016.07.04

『時代を導く男性像とモード』公開講座
Report & Impressions

6月15日(水)明治大学中野キャンパスにて
紳士の名品50』の著者であり、同大学の国際日本学部特任教授を務める中野香織さんが講師となり「時代を導く男性像とモード」をテーマに公開講座をおこなった。

 

ファッション学とは

定義:【ファッションとは、トレンドや服装の移り変わりと捉える人が

多い中、時代・社会・人を形づくるもの】

 

―――以下、要約

まず、自分を構成する要素としてどんなものがあるか。

たとえば、洋服・食事・生活習慣・言語・趣味・知識(教養)・立ち振舞い・人付き合い・住環境・政治経済や映画・音楽に至るまで数多くあるが、なによりも大きいのがマインドセット(自分のことをどのように捉えているか)。同じ服を着てもこれらが違えば、まったく異なる印象になってしまい、これをすべて含めて”あなた”を形作るもの。

そして、人間の行動やファッショントレンドも螺旋状に繰り返していくが、その時代によって社会環境が異なるためまったく同じにはならない。

この講座は、ストリートから見たファッション史、イラストから見たファッション史、マーケッターから見たファッション史など様々ある中で、メンズファッションデザイナーから見たファッション史について考察する内容でおこなったものである。

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主要なメンズファッションデザイナーの台頭

 

しかし、主要なメンズファッションデザイナーは1980年頃までは出て来ず、、、
では一体、それ以前はどのようにメンズの流行が作られていたのか。

1930年頃は、映画スターの影響が強く、トップハットと燕尾服といえばフレッド・アステア、トレンチコートといえばハンフリー・ボガートのように俳優そのものや映画の中で描かれるギャングがファッションアイコンとなり、影響を与えていた。ケーリー・グラントは自身でサヴィルロウで仕立てたスーツを着用してアクションをこなしていた(『007』のイメージソースにもなった)ことなど、知ってハッとするような知識を織り交ぜながら進行していく。

 

ピエール・カルダンとビートルズ、トミー・ナッターとミック・ジャガーの関係から見る60年代。
イヴ・サンローランやアンディ・ウォーホルの70年代から80年代へと…

 

1980年代~

1980年代に入り、デザインとビジネスの両方を確立させたジョルジオ・アルマーニやラルフ・ローレン、カルヴァン・クライン、日本人では哲学的にファッションを提案した山本耀司などのメンズファッションデザイナーが生まれ、トレンドが生まれる。
どのデザイナーも時代の流れをつかみ、独自の男性像を持っていた。

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90年代に入ると、スーツはミニマルになっていき、その流れから2000年代に新しい男性像が生まれる。それをいち早く表現してみせたのが、エディ・スリマン。

クリエイティブディレクターの立ち位置を構築したトム・フォード、男性の半ズボンを提唱し、日本でも大きな影響を与えたトム・ブラウン。

また、近年ではサプール(フランスのエレガントで洗練された着こなしに憧れたコンゴのお洒落集団)、SNSで人気を得たニック・ウースターなど、デザイナーではないところからも新しいインスピレーションが生まれるなど、いつの時代も新しい男性像を模索しながら、螺旋の先を探し求めている。

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―――感想

これからの日本の男性像として
エディ・スリマンやサプールなど、お手本になる男性像は沢山ある。
リック・オーウェンスのような男性を強く押し出さずとも、日本人が求める質を理解すべきなのかと思う。ノームコアのように、ベーシックの中にも各々の個性を出し、自分を主張する。ただし、表層的ではなく内面的に。
これをファッションとしてどう表現するか、これからが楽しみである。

 

今回、講座を聞きにきていた人も老若男女さまざまであり、真剣に聞き入ってる様子が見受けられた。講座終わりには、中野香織氏の著書『紳士の名品50』のサイン会が行われ、サインを求める列ができるほど、盛況理に幕を閉じた講座であった。

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中野香織(なかの かおり)
服飾史家、エッセイスト。明治大学国際日本学部特任教授 過去2000年の男女ファッション史から最新モード事情まで研究・執筆・レクチャーをおこなっている。 東京大学大学院博士課程単位取得満期退学、ケンブリッジ大学客員研究員を経て文筆業、2008年より明治大学国際日本学部特任教授。専門はファッション文化史、ダンディズム、イギリス文化史。著書『モードとエロスと資本』(集英社新書)、『ダンディズムの系譜 男が憧れた男たち』(新潮選書)、『愛されるモード』(中央公論新社)ほか多数。監訳『シャネル、革命の秘密』(ディスカヴァー・トウェンティワン)ほか翻訳書多数。『英和ファッション用語辞典』(研究社)監修。新聞・雑誌・ウェブでの連載記事多数。

中野香織さんのホームページはこちら
http://www.kaori-nakano.com/

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