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スーツやコートなど、1シーズン着た衣類には汗や脂などで、実はかなり汚れているもの。シーズンオフになればクリーニングに出すのは当然だが、通常のドライクリーニングでは、完全に汚れを落とすには限界がある。
ナチュラルクリーンでは「水洗い」によるクリーニングを行っている。使用する洗剤も「ランドレス」などの一般用のもので、工場内には洗剤に含まれる香料の心地よい香りが漂う。スーツを水洗いするなんて言語道断!と思うかもしれないが、ナチュラルクリーンの「ウォータークリーニング」は、地下400Mから汲みだされる天然水を最先端のテクノロジーで、粒子の細かな水と超微細な泡に進化させた水を使用することにより可能にした技術だ。これにより、通常は水洗いできない繊細な素材でも、ダメージを与えることなく洗うことができる。
素材はもちろん、デザインやブランドによって細かなディテールも異なる。例え同じ品物でも人により着方も違えば、クセの付き方も違う。ということは、洗い方も変わるのは至極当然のこと。アイテムのデザインやディテールを可能な限り復元するため、水洗いの方法、復元方法もさまざま。幾通りもあるなかから、それらの“クセ”を見極め、生地本来の持つ風合いを最大限引き出し、蘇らせ、復元するための最適なクリーニングをおこなう。
ナチュラルクリーンでは職人の一人ひとりがクリエイターとなり、時間や労力を惜しむことなく、一点一点の服に命を吹き込んでいる。地道な作業のなかにも、日々新たな疑問や発見があり、それを解決するための貪欲な探究心がある。そうして、変化と進化を繰り返し真剣に取り組む姿は、一切の妥協もなく、一着一着を丁寧に仕立てていくテーラーのようだ。
実際、スーツの仕上げに関しては、客観性と再現性の観点から、長年に渡ってテーラーを営み、「現代の名工」にも選ばれている鈴木誠二氏が監修し、元の色加減や仕上がりのイメージを職人に伝えている。生地と縫製の違いやクセを理解する上でも重要なキーパーソンとなっている。
「掃除にはじまり、掃除におわる。掃除が出来なければクリーニングもできない」とは中田代表の言葉であるが、ここでは例え小さなゴミでも気付き拾う光景が当たり前に存在している。早朝におこなう空手の稽古も、「心・技・体」の修練を積み重ね、心身を鍛えることで、日々に感謝し精進する姿がある。それも皆が家族のように団結し、自発的におこなっているからこその姿勢の表れなのだ。
業界にない自由で独創的な発想をもつ中田代表はそのまとめ役であり、オーケストラの指揮者のような存在。オペレーターをはじめとする一人ひとりの状況を見ながら、その命を活かす。「仕事が遊び、だからおもしろい」「職場で死ねるなら本望」。その言葉には一点の曇りもなく、魂が宿っている。
服を水洗いするということは、一度“素”の状態にリセットするということ。ナチュラルクリーンから品物が手元に戻ってきたら、ほのかな香りと蘇った素材からのメッセージを五感で感じ取れることだろう。