―――ワイン雑誌『WINE-WHAT!?』を作っていらっしゃる鈴木文彦さんにお聞きしたいと思います。鈴木さんは昔、パリのソルボンヌ大学で”ダンディズム”を研究なさってたんですよね。
パリで学び、研究したこと
15年位ですね。大学生をやっていて、ずーっと”ダンディズム”を研究してまして、”ダンディー”というのとはまたちょっと違うものなんですけどもやっていました。最後の6年間位はフランスのソルボンヌ大学で”ダンディズム”を勉強していたという感じですね。
最初は絵が好きだったんですよね。絵画が好きだったんです。それでその絵画を批評している人物で、19世紀のフランスの詩人、シャルル・ボードレールという人物がいるんですけれども、その彼の割と考え方の骨子になっているものが”ダンディズム”っていうもので、彼自身がある種”ダンディー”的な生活を送っていたというか。
当時の文学者たちっていうのは、どっかちょっと傾(かぶ)いたというか反逆的・反抗的なところがあって、見た目とかファッションなにを着るかというようなところにも意識をしていて、タイトなスーツを着ていて、中の白いシャツはすごいラフで袖とかからはみ出ていて、ひげは無精ヒゲのままにしてっていうようなポートレートが残っていたりとか。自分でもいろいろダンディーの理論みたいなのも書いてますから、実践してた、自分がやろうとしていたこともかなりあるんじゃないかなという風な感じはします。ミステリアスな人物ですね。
―――そういう研究をなさってきた鈴木さんが、現代に生きる男性を見られて”ダンディズム”を含めてどういう風に見られますか?
ダンディズムについて
特に勉強していたボードレールでいうならば、彼はかなり予言めいたことを自分の著書の中で言ってるんですね。彼はおもしろい2極対立みたいなのを作るんですが、それのひとつがですね、専門家っていうので、これはどんどん技術が進歩していったりするとですね、人がこう専門的になっていく。専門的になっていくと人生の長い時間を自分の専門に費やすから他のことができなくなってくると。
一方で、もうひとつの極にすべてで生きられる人みたいな意味でコスモポリットっていう概念を対に置く、まったく逆なんですね。専門家で精鋭化していく連中と、あらゆるところで生きていける人物と。彼は、男性の理想像というのはコスモポリットの方にあるんだろうという風なことを考えるんです。だって彼は、歌を歌えば歌手のように上手だし、詩をつくることもできるし、子供にとっては良い父親だし、近所の子にとっては良い先生だし、狩猟に行けば鹿を倒してきたりとか動物を倒したりできる戦士だし、なんでもできるじゃないか。そういう人の方が人間として本来あるべき姿なんじゃないかと。
”ダンディー”っていうのも実は精鋭化が進んだ都市の中において専門家にならない。なんでもできるけれども逆に何にもすることがなくなっちゃった人たち。仕事のない英雄とかですね、沈みゆく太陽とかって彼は悲劇的な言葉をダンディーにつけるんですけども、そういうものがダンディーじゃないかと言っていて。
いよいよ専門家の時代になってきて、それに待ったをかけるような考え方というか視点みたなものを現代の男性は持っていた方がいいし、できた方がカッコいいんじゃないかっていう風に思いますね。
<スタイリング>
スーツ:TOMMY HILFIGER
シャツ:GENTRYFY
ネクタイ:BROOKS BROTHERS
ベルト:et vous
時計:SEIKO MARINEMASTER PROFESSIONAL 300M
シューズ:BROOKS BROTHERS
<撮影協力>
Les Copains de Dominique Bouchet (レ・コパン ドゥ ドミニク・ブシェ)
〒104-0061
東京都中央区銀座5丁目1-8 銀座MSビル B1F
TEL:03-6264-6566
営業時間: DINNER ディナー 17:30~25:30 (L.O) Close26:00
定休日:日曜日
ホームページ:http://lescopains.jp/
Facebook:https://www.facebook.com/Lescopainsdb/