mandoに宿るクラシックの息吹
ハイブリッド素材と融合することで生まれる
独自のものづくり
―――デザイナーの高巣満導さんのテーラリングの具体的な話をお聞きしたいと思うので、商品でご説明ください。
このブランドの原点はクラシックなんですが、それを現代的に表現したいというのがコンセプトなんです。作りやディテールはクラシックな雰囲気にしたい。例えばテキスタイルの柄にしても。ただしそれをハイブリッドにしたいわけですよ。
もともとは天然素材思考だったんですが、最近では天然素材ではなく合繊を使っています。合繊の良さというものがありまして、まずは軽い。ピシっとしたものには合繊はシワになりにくい。僕らは全く逆で あえてシワを入れたりもするのですが、シワをキープできるということ。非常にメンテナンスがいいんですね。中にはストレッチも効いていて動きが非常にいい。そういったことで、できるだけハイブリッドなものと融合させたいんですね。
古着が1着とサンプルがあるんですが、まずはこちらですね。
1940年代ぐらいのイギリス人が植民地を訪れた時に作った夏物のジャケットなんですけど、このラペルの雰囲気を参考にしたものがこれなんですね。もちろんズバリということではなく、イメージで、ここまで太くないんですけど。素材はポリエステルです。ポリエステルを製品染めしているんです。高圧染色という特殊なやり方で、独特なこういうパッカリング(縫製時にできる縫い縮みのこと)が起きるんですよね。
まずはそういうハイブリッドな雰囲気の素材を使っているということと、全体の雰囲気。ディテールはどうかというと、非常にクラシカルになっています。作りはどうかというと、柔らかくてペラペラなんだけども、ちゃんと芯地が入っているんですよ。柔らかい特殊な毛芯が入っているんです。
こういう襟の端なんかも古いものを参考にして、全部スレキ(裏地の一種「なめらかで光沢のある織物」のこと)が入っているんですよね。割りと決まるんですよ、前の感じが。ディテールがすっとね。そういったものは参考にして、非常にクラシックな古くても良い部分は取り入れて、それをハイブリッド化しているというのが特徴ですね。
次にパンツの方なんですけれども、これも同じように合繊です。ポリエステル100%。これを高圧染色してるわけですね。じゃあ作りはどうかというと、昔のこういうスレキを使いましてね、ましてやこういう汗取りもあるんですよ。こういう細かいディテールなんかも全てクラシックな作りをしています。デザイン的なシルエットはどうかというと、これがまた普通のパンツとは違って、今 僕が履いている感じのサルエル調のデザインなんですよね。
そういったものを特徴にしたセットアップなので、一見クラシックな感じに見えるんだけれども、実はそうじゃないというのが、このブランドの特徴ではあるんですけれどもね。
高巣 満導氏 / ファッションデザイナー
(たかす まんどう、1962年 -)
mando デザイナー。
(株)アルファキュービックで14年間勤務した後、'97年自身のブランドmando設立、レディース商品よりスタート。'03年mandoのメンズラインスタート。09年6月Pitti Uomoに出展。'10年メンズに続き、2月ITALY Showroomにてレディスライン出展 。 `12年 1月パリ TRANOI HOMMEに出展。 日本国内・ヨーロッパの一流SHOPを顧客にもち現在に至る。男性服、女性服の概念にとらわれなく流行にも左右されない時代の空気感を大切に表現。カジュアルな表現の中にも吟味された最高の材料と、高度なテクニックで、時にはクチュールな要素も取り入れた仕立てをしている。クラシックな考え方を基本として表現しているが、あくまでも現代の先端を歩む男性像をイメージしている。