―――次は、私も大変影響を受けました「JAPANESE DANDY」なんですけれども、この次に「JAPANESE DANDY Monochrome」についてお話いただけますか?
JAPANESE DANDY Monochrome
「JAPANESE DANDY」を出した時から、これはデジタルで撮ってますから、モノクロームと言いましてもこれは変換なんですけども、カメラマンの大川さんとしてはモノクロの世界も見せたいっていうのがありましてね。「JAPANESE DANDY」にも一部モノクロが入っているんですが。完璧なモノクロ版として大川さんの希望もあり、僕も素敵だと思いますんでね、形にしたいなと思って、この1年半~2年間動いてたんですね。
それが結実して、この5月頃に「JAPANESE DANDY Monochrome」というタイトルで、より人物に迫った写真になっているかと思うんですね。とは言うものの、洋服は全然おろそかになっていなくて、ファッション写真として見てもらっても楽しんでもらえるような内容になっていると思います。
プロデューサーとしての想い
―――河合さんがお作りになった「JAPANESE DANDY」。プロデューサーとして作った想いはどんなところにあるのでしょう?
これはこの2年間何度も言ってきたんですけど。大きく3つありましてね。
ひとつは大きく見て斜陽になっているなかで、僕の周りにいる素敵な人たちの姿を写真に撮って留めておくことが、この先記録としての価値も生むんじゃないかなと思ったんですね。
もうひとつは、日本にテーラードスタイルが入ってきて約150年くらい経つんですけど、その人たちが、お上からの命令でテーラードを着続けたわけですね。でもその着続けたおかげで今日この本に載っているような方々が出てきたわけです。それをぜひ、本家である海外(西洋)の方に『どう思いますか?』と見ていただきたかった。
もうひとつはですね、テーラードスタイルを楽しんでいる方々がこの中にはいっぱいいらっしゃいますから、その姿を読者である方が見てくださって、まぁふだんはね、カジュアルなスタイルでも僕はいいと思うんですけど。やっぱり、テーラードの洋服をひとつ持っているだけでお洒落の楽しみが広がりますから、ぜひ写真を通して知っていただきたい。これはもう若い方、逆にリタイヤして明日から必要に迫られてスーツを着なくてよくなった人にも再度見ていただいて、“いいな”と思っていただければなって。その3つでしょうかね。
メッセージ
―――今度はWEBサイトをご覧になっている方々に河合さんからのメッセージを伝えていただきたいのですが。
人にとって、ファッション、洋服のスタイルはそれぞれなんでね。なかにはトラッドは不滅だって言う人もいますし、変わり続ける、進化するからトラッドだって言う人もいますしね。それはもうその人の今まで生きてきた人生、いろんなファクターがあってそういう考え方に至るわけですから、何が良くて何が悪いってのはないと思うんですよね、僕は。
ただ、それを楽しんで着ているかどうか。意識を持って。そこなんですよ。
テーラードの本を作ってるんですけどね、じゃあ全員テーラードにしたらいいのかって言ったらそんなこと思ってないわけですよ。ただテーラードの楽しみのひとつとして知ってもらえたらなっていう。
人生そんなに長くはないですから、そういう部分についても楽しんで、自分自身も周りの人も、こう見て素敵だなって思われるようなスタイルを目指されると、ちょっと人生変わるかなっていうのはありますよね。楽しめるというか。
<スタイリング>
ジャケット:LA VERA SARTORIA NAPOLETANA
シャツ:HITOYOSHI
ネクタイ:ITTOU
靴:Alden