鎌田氏−−−今日は2回目ということで、セブンフォールドの代表の加賀さんと20代のクロージングにとても興味のある医学博士の中原さんです。
全員−−−よろしくお願いいたします。
クロージングスタイルへの興味
鎌田氏−−−今 若者のドレス離れというかスーツ・ネクタイをする方が非常に少なくなってきて、カジュアル化が進んでいるということもあるんですが、中原さんは20代代表としてなぜクロージングの世界に興味を持ったんですか?
中原氏−−−私は最初 モードの世界に興味を持ち出して、高校、大学の最初の頃ですかね。そこから 大学生の頃に海外に旅行に行く機会があってイタリアに行ったことが一つのキッカケです。モードの元でありながらも イタリアに実際に行くと、真っ黒な服を着ている人はいなくて、黒じゃなくてネイビーやグレーなどの中間色を用いたクラシックなコーディネートをしている大人たちを見て、これが本物の服なのかな と思いまして。そこからクラシックの方に興味を持ち出しました。
鎌田氏−−−同世代で 中原さんのように休日にネクタイをしてレストランに行くということをする方はあまりいないと思うんですが。
中原氏−−−ジャケットを着て ネクタイは締めないとしても、そういう場所ではそういう格好をするとやっぱり、もっと背筋も伸びて楽しめるんじゃないかということは思います。
鎌田氏−−−加賀さんはいかがですか?イタリアと日本という点では?
文化観・価値観の変化
加賀氏−−−ビジネスマンや学生さんなどお洋服に対する興味は かなり日本人は高いと思います。応用性もありますし、すごく勉強も熱心ですし、ただ 価値観という部分では全世界共通していて、良いお洋服を着たり ネクタイを締めて装って出掛けるという文化観が、若干薄れてきているのは確かですね。
中原さんのように洋服に興味を持つ、買ってみる、着てどこかへ行くというのはノーマルなことなんですが、実は結構 皆さんお家で完結してしまうという、かなり対極的な層が増えているということに対してもう少し外へ出ませんか?というところから提案していかなければならないという辛さはありますよね。
鎌田氏−−−僕らの世代の20代は「遊びに行く=スーツを着る」だったんですよね。ファッションとしてスーツを着ていたんです。そういう入り口がぼくらの時代は軽かったのかなと。今はどうしても クラシックというと、すごくルールがあるんじゃないかとか、ちょっと入りにくいんじゃないか という所も20代の方が なかなかエレガンスという方向に行けない理由の一つだと思うんです。
加賀氏−−−ぼくらは一旦 もうちょっと気楽に楽しんで下さい、という所をアピールしていかないと、ネクタイを選んだり、洋服の素材を見るということも全てが仕事の一環となることだけは避けていきたいですね。我々業界の立場としてはそこを提案していかなければいけません。
Tie your Tie
鎌田氏−−−今日は ここに今季のネクタイが色々と並んでいるんですが、素材や色、柄などの話をお聞きしたいです。
(画像左から、「Atto Vannucci」, 2本目から「ALAN SMITHEE」, 4本目から「Earldom」,7本目は「Atto Vannucci」)
加賀氏−−−店頭に見に行くと 顕著に売れている素材としては、ウール素材、もしくはカシミア混紡であったり、スーツ地やジャケット地を使ったファブリック素材のタイプのネクタイがすごく需要が高まってきているなと思います。
今日、中原さんがされていますが、選ばれる理由は非常に分かりやすくて締めていると何となく気分が良いという点だと思うんです。そういう分かりやすい素材感が一番トレンドとしてはヒットしているのかなと。その隣のシルクジャガードの織柄のネイビーベースのドット、あとはマルチストライプですね。サブレ調のタイプであったり、ハウンドトゥースのプリント地に見えるようなウールタッチのシルク100%の織りであったり、ペイズリーも含めて 割とドライタッチのものが多いというのは傾向としてあります。
鎌田氏---中原さんは 今年したいネクタイはありますか?
中原氏---細い糸でできたウールのネクタイは下手なシルクよりもよっぽどドレッシーだったりしますし、逆にこういった柔らかい雰囲気がカジュアルで、そんなに気張らず力の抜けるところもあって非常に使い勝手がいいのかなと思います。
鎌田氏---ちょうどツイードのジャケットにソリッドのウールタイをしていますね。
中原氏---通常のシルクの黒のネクタイですと、結婚式やお葬式に行くのかなという話になってしまいますが、そこを素材を変えて ウールでかつ芯がないことによって、やっぱり少し力の抜けた巻かないといけないから巻いているネクタイではなくて、あくまで自分の個性として巻けるものなのかなと。
鎌田氏---非常に今日はシックで、みなさん真似していただきたい装いですよね。
普遍的なスタイル
中原氏---最近だと 後ろに昔の俳優が並んでいますけど、昔の映画などを観ることが多くて、そういったところから ファッションのインスピレーションとして参考にしているところはあります。ファッションは移り変わるものだと思うんですが、やっぱりスタイルというものは 先を見なくても前を振り返ってみれば 例えばそれが映画の中だったり普遍性のあるものがたくさんあふれていると思うので、そういったところを参考にしている部分はあります。
加賀氏---良いことですよ。
鎌田氏---そういう若い方が増えて欲しいですね。
<特別協力>
Atto Vannucci(SEVEN FOLD)
ALAN SMITHEE(栄光堂)
Earldom(アラ商事)
<撮影協力>
MR.FENICE (ミスター・フェニーチェ)
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