林:今回は 今までの紙の雑誌の編集長とはちょっと違うWEB雑誌の編集長である講談社「FORZA STYLE」の干場編集長をお迎えいたしております。その華々しいキャリアの一端を教えていただけますか?
干場:まったく華々しくないんですけれど元々は18歳の頃に知り合いのツテに頼んで
BEAMSのアルバイトをさせてもらうことになったんですね。BEAMSのアルバイトをしてると同時期に友達に誘われて、表参道に一緒に行かないかと雑誌のスナップを撮る企画林さんのところもやってらっしゃったと思うんですけれど、行ったらすぐにパシャッとスナップを撮られてすごい面白いねそのファッションと言われて出た雑誌が「POPEYE」だったんです。その次の月から、毎月のように出てくれと言われてそれで「POPEYE」の読者モデルを1年半〜2年くらいやらせていただくことになったんです。そうしたら編集の世界をちょっと垣間見ることになって、読者として見ていた「POPEYE」が自分が出ることによってどういうふうに作られていくのかということを知るようになったんですね。それで、雑誌の世界ってすごく面白いなと思ってまた違う雑誌から出演してくれと声がかかり、それが「MA-1」という雑誌だったんですけど表紙に出たんですね。
林:すごいね〜
干場:その時にこれはチャンスだと思って、ある方に話をしてどうにかこの出版社に入れてくれないかと何も出来ないですけれど、ファッションのことなら誰にも負けませんと言っちゃったんです。そうしたら「分かった おまえは面白いから三ヶ月だけ見習いで来なさい」と言われて、三ヶ月間はびっちりなるべく早く行って、なるべく皆さんの邪魔にならないように当時の編集部ってタバコがあったり雑誌や新聞がぐちゃぐちゃで汚いじゃないですか、そういうのをキレイにしたりっていう下積みの時代が20歳くらいですね。そこから ワールドフォトプレスで3年くらいかけて編集作業を学ばせていただいて。
林:そこから、編集者としてはシンデレラストーリーですよね。「LEON」を立ち上げて大活躍されて「モテる」とか「ちょいワル」とか。そういうものは、みんな干場さんが作られたという。それで、その紙の媒体での大成功をキッカケにして今はWEBマガジンをやってらっしゃって。
干場:講談社にちょっとずつ来るようになって、色んな人と話をして、デジタルメディアで何か面白いものを作れないだろうかと言われまして、それで本当は紙の雑誌を作る予定だったのが急にバッとデジタルに転換したのがちょうど5年前ですね。そこからこのメディアに携わるようになったという感じです。SNSと呼ばれるFacebookを利用したり、Instagramを利用したりあらゆるデバイスや物を使って、色んな発信をしてみんなに情報を伝えて店頭にぼくの等身大パネルが飾ってあったりするんですね、それも伝え方の一つだと思うんです。Facebookも現代流の伝え方ですし動画など可能性が一気に広がったのが非常に面白いです。
林:ぼくたちのインタビューの一番のポイントはメンズファッションがどんどんカジュアルな方向に流れているけれども、じゃあドレスアップというものを考えた時にどういう方向に進めばいいのか、干場さんが考えるこれからのドレスアップというのはどういうスタイルでしょうか?
干場:ぼくが一番大事にしているのがTPPOS なんですね。
林:なんですか?TPPOS?
干場:タイム、プレイス、オケージョンというのが今までの言葉としてあったと思うんですけど、そこにもう一つPが加わってパーソナル、そして最後のSがスタイルです。いつ、どこで、誰と、何を、どんなスタイルで行くか、ということが非常に大事だと考えています。ぼくは常々世界のどこに行っても失礼のないようなスタイルでいたいというのが自分の中でありまして、そうするとやっぱりスーツスタイルだろうなということでぼくの中ではスーツをトレードマークにしています。今日着ているグレーのスーツとふつうの水色のシャツや白いシャツ、黒とか紺のタイですね。
林:一番当たり前のものではありますけれどね。
干場:それなんです。それでいいんですよね。ファッションというかスタイルを突き詰めていったときに大事なのは人間の中身だと思ったんですね。でも、中身で考えていることは外見に出てしまうんです。どういう素材を選んでいるのか、どういう肩なのか、どういう組み合わせをしているのか、全部中で考えていることは実は外に露呈してしまうということがあるので。
林:よく海外取材なんか行かれるでしょう。特にイタリアなどの色々な有名ブランドのCEOのディエゴ・デッラ・ヴァッレさん(トッズグループ会長)とかピエール・ルイジ・ロロ・ピアーナさん(ロロ・ピアーナ副会長)とか大変親しくされていますが、そういう人たちから学んだことも多いんじゃないですか?
干場:そういう人たちからこそ学びましたね。世界のどこにいても恥ずかしくないスタイルというのは、こういうスタイルなんだとか、クラシックなスタイルをベースにしていて、エレガントなスタイルがあるんだということを知って、あまりトレンドに流されず、普遍的で自分のことが格好良く見えるというか、でもあまりやり過ぎず引き算でというのは考えるようになりました。
林:干場さんが得意な分野とされている船の旅。そういうところでも フォーマルスタイルというかドレスアップスタイルの素敵な方をご覧になるんじゃないですか?
干場:いっぱいいらっしゃいますね。船の上の人たちというのはやっぱりラグジュアリーなライフスタイルを体現している方が多いです。どういう人たちかというとみなさんトップファッション、トップモードを着ている人ではなかったんです。それこそ今林さんが着てらっしゃる麻のジャケットと白いシャツだとかブラックタイの日にはちゃんと白いウイングカラーのシャツにスタッズをして、ボウタイを自分で結んでタキシードを着ていて、さっき言ったTPPOSをちゃんとみなさん分かって着ている人が非常に多いです。あとは 日本人がまだ出来ていない部分として、たとえば、パーティーがあると海外では必ずドレスコードが示されていて、ブラックタイで行く時に一人では行かないじゃないですか、絶対に奥様やパートナーと一緒に行って、二人で格好良いということをふつうにやっているんですね。日本でそれをやっている人がなかなかいないんです。それが非常に残念です。
林:これからの課題ですよね。男女がペアでレストランやレセプションに行く時はこういうのが世界的な常識なんだということを干場さんに是非広めていただきたいです。
干場:ぼくはいつもそれはやりたいなとずっと思っています。
<スタイリング>
スーツ /B.R.SHOP
シャツ /Maria Santangelo
メガネ/OLIVER PEOPLES
チーフ/Loro Piana
ネクタイ /タカシマヤスタイル オーダーサロン
時計 /PATEK PHILIPPE
リング /Asprey
ブレスレット/Tod’s
靴下/Calzedonia
シューズ /WH
<撮影協力>
講談社 FORZA STYLE
112-8001
東京都文京区音羽2-12-21
株式会社 講談社 FORZA STYLE
編集部:TEL:03-5395-3912
編集部:FAX:03-3943-8583
ホームページ:http://forzastyle.com/
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<出版>
「FORZA STYLE(フォルツァスタイル)」は、忙しい40代のために最速で本質に迫るファッション&ライフスタイルのウェブマガジン。『LEON』や『OCEANS』をヒットさせた干場義雅が編集長を務め、スマートな40代、スマフォーに向けた情報を発信しています。
FORZA STYLE(フォルツァスタイル)