Q.「仕事でプレゼンテーションがある日のドレスコードは?」
大草直子(以下、大草):私もイベントとかトークショーで、お悩みとかをお話しいただくこともあるんですけれども、やっぱり仕事服って、さっき言ったみたいな他者の目だったりとか、シーンだったり、その仕事の内容、お会いする人ってことを全部見て決めなければならないので、やはり個性がどんどんなくなってきてしまうじゃないですか。それが飽きてしまうって皆さんおっしゃるんですね。それをどうやってご説明したらいいかっていうのは、毎回ちょっと考えているんですけれども。
RULE「まずは、基本の仕事着を3バリエーション持つといい」
大草:そうなんです。例えば朝も仕事に行く時ってコーディネートにかける時間もなかったり、あとバジェットも含めてふんだんにかけられる人ってそんなには多くないので、三つぐらいユニフォーム化してしまって、それをその時の気分で取り替えるのはどうですかっていうような言い方をするんですけれども。例えばワンピースのコーディネート、セットアップのコーディネート、あとはスーツ、完璧なスーツとしてのセットアップの3バリエーションぐらい揃えておくといい。例えばスーツはインナーで気持ちを変えたりとか、セットアップ、スーツではないセットアップであれば例えば靴。靴って面積が小さいので、カラフルな色を取り入れたりはできないんですけど、ただ、黒とブラウンじゃないといけないっていう事はないと思うんです。そこで例えば少し気分を変えるとか、ワンピースは下に重ねられるものであれば、襟の形で気分を変えるとかっていうふうにご提案はさせていただくんですけども、そのアレンジみたいなもの、自分を飽きさせないアレンジみたいなものを、おそらくはっきりとしたユニフォームというか三つ型を作っておくことで、アレンジができるんだと思うんですね。
山本晃弘(以下、山本):そっか。ゼロから何か作ってくださいっていわれると少し難しいですけど、基本を三つぐらい持っておくと。それはいいですね。
大草:そうすると汚れやすいインナーに関しては、もしかしたらシーズンに1、2回は新調しましょうっていう、すごいバジェット的にもリアルなご提案ができるかなと思って、それはそういうふうにお話をさせていただいているんですけども。
山本:毎シーズン買うときに、それを心がけて買った方がいいですよね。
大草:もしかしたら。
RULE「仕事ができることを、装いでも相手に伝える」
山本:いっときドレスアップすることがなんでしょうね、よくないことだっていう昭和の世代もいるわけですよ。そんなことしている暇があったら仕事しなさいって言うので。一方でITの人たちがいっときね、某ITのCEOの真似をして、ミニマリストになったんですよ。「私はそれよりももっと考えることがいっぱいあるので、できるだけ同じ服装で毎日過ごします」っていうふうに言われていた方がいて、このクラシックな昭和の上司とこのIT系の方は違うことをいっているようで、同じようなことの裏表だなと思ったんですけど。私はいずれも不正解だと思っていて、その仕事ができることを冒頭で申し上げましたが、着こなしでも伝えるとか、あるいは自分のデスクワークのモチベーションを上げていくとか、そういう役割がお洋服にはありますよね。
大草:ありますね。だって結局もう、顔と服しかないじゃないですか。
山本:そうですよね。人間は装うことによって人間になったわけですからね、動物ではなくなったわけですから。
大草:そうですよね。本当そうですよね。
山本:アクセサリーは、男性は唯一のアクセサリーが時計であるっていういわれ方をしますけど、もちろんメガネがあったりもしますけど、女性の方はアクセサリーもどういうふうに考えたらいいのかなと、今日大草さんに聞こうと思ったんですけど。
RULE「女性は一粒パールのイヤリング、男性は白いポケットチーフをポイントにする」
大草:そうですね。プレゼンテーションの時は、手元と顔がやはり目立つと思うんですね。例えばデスクワークの時は、電話を取ったりもするので、大きなピアスだとちょっとカツカツ音がするんですよ。あとはこういうブレスレットだったり、バングルなんかにしても、やはりデスクワークの時はかなり邪魔になると思うんですね。基本的には例えばパールの一粒だったりとか、そのぐらいで充分かなというふうに思いますね。横顔は確実に白い光があると明るくなる、華やかになるので、洗練されて見えるので、こんな小さなものでも結構変わるんですね。一つおすすめはというふうに言われれば、パールのピアスを、イヤリングを一粒っていうのがいいんじゃないかなと思います。
山本:白は顔色を明るくしたりする印象になるんですね?
大草:光なんです、女の人にとっては。
山本:その話を受けていうと、男性にとってポケットチーフなんですよね。これがあるとないとでは。
大草:全然違います、本当だ。
山本:ここから上だけが見える時に、これがないと、やはりクラシックで重い人に見えるんですけど、これがあった瞬間に少し明るさが増して、スピード感のある人に見えるという。
大草:おっしゃる通りですね、ほんの小さな面積なんですけどね。
山本:この入れ方ってチーフって、プロである大草さんに申し上げるのはおかしいですけど、TVフォールドっていうキャスターのチーフの入れ方ですよね。ですから、少しだけ清潔感と誠実感をここで、ここから上だけで表現する入れ方ですので。男性にとってはTVフォールドのチーフ、女性にとってはじゃあパールのピアス、白をポイントに使うと。
大草:おすすめです。
山本:大事ですね。そうしましたら、このパートの最後にもうひとつ、靴の話を聞きたいんですね。
最近いろいろな提言がなされて、一方でスニーカーで通勤したらどうかという提言もあったり、あるいは女性の働く皆さんからの声で#KuToo問題、ハイヒールを履くのが苦痛であるというような声もあがってますけれども、プレゼンテーションするときの装いの足元は、女性はどのようにしたらいいんですかね?
RULE「女性にすすめるのは、3.5~5センチのヒール靴」
大草:場面によっては、もしかしたらそんなに見えないかもしれないですけれども、ただヒールはあったほうがいいと思います。それは何故かというと、やはりヒールを履くとふくらはぎの筋肉が伸びて、そして背筋が伸びるんですよ。坐骨にきちんと上半身が乗るっていう形になって肩甲骨が開く感じがするので、自分に対しての緊張感と、あとは相手に対してのしっかりしたイメージっていうところでもヒールはあったほうがいいと思います。ただ、当然7センチ、9センチっていうものを履く必要はないので、3.5センチもしくは5センチあればいいかなと思うんですね。場所にもよるんですけども、例えば絨毯が敷いてある会議室だったりすると少し埋もれるんですよ。
山本:なるほど。ヒールが入ってしまう。
大草:少し入ってしまうんですよね。なので、その場合はやはり5センチ位あった方がいいかもしれないし、硬い大理石だったり床の場合は3.5センチでもいいかもしれないですけど。
山本:そうか、床の素材もイメージ変えますね。
大草:結構、「アッ」と思うんですよね。結構沈んじゃったなっていう時があるので、そういうこともちょっと頭に浮かべて選んでいただくのもいいと思いますし。素材に関してはおそらく男性のドレスコードと同じで、スエードは基本的にカジュアルな素材だと思うので、女性の場合はエナメルだったり、表革だったり、そういったものを選ばれるといいと思います。
山本:男性の場合には、プレゼンテーションのときには黒もしくは茶の革靴を履いてくださいと申し上げています。できれば黒がいいかなというふうに、私は考えているんですね。

メンズ/黒のビジネスシューズ
(D’URBAN/レナウン)
RULE「男性が履くべきは、黒か茶のプレーントゥかウイングチップ」
山本:で、じゃあディテールはどういうものがいいんでしょうかという話になると、もうそれほど迷う事はなくて、プレーントゥを履くのか、ウィングチップと呼ばれるようなものを履くのかぐらいで。色はさっき黒茶以外でもありというふうにおっしゃいましたけども、どのぐらいまでいっていいんですかね?
RULE「仕事靴は、つま先が丸くも尖ってもいないアーモンドトゥを選ぶ」
大草:そうですね。職種だったりとか、そのときのシーン感にもよると思うんですけど、女性にとって、意外といろんなベーシックカラーに合ってくれるのが深いボルドーなんですね。赤ではなくてボルドーなんです。深くて炭っぽい、少し黒がたっぷり入っているような感じだとネイビーにも合うし、ブラウンにも合う、黒にも合う、あと深いグレーにも合ってくるんですね。なので、色は黒、ブラウン、ボルドーあたりであれば、問題ないと思います。素材も選べば大丈夫ですし、ヒールの高さ、あとはもしかしたら男性の靴と、やはりその辺近いかもしれないですけど、そういったプレゼンテーションで先の丸いお靴を履かないじゃないですか。女性もとんがったポインテッドはモードに見えます。で少し怖そうに見えたりするので、で丸いものは甘えた女の人に見えるんですね。ラウンドトゥは。アーモンドトゥっていわれるそのちょうど間ぐらいの感じですね。

レディーズ/3.5~5センチのアーモンドトゥのパンプス
山本:名前があるんですね。アーモンドトゥって言わないです。
大草:あるんです。アーモンドの先のような、丸みはあるんだけれども、自然にちょっと尖っていくような感じだと思うんですけれども、足も長くきれいに見せてくれるし、信頼感のあるシャープなキャラクターにも見えるんですね。女性らしさは失わないので、意外とヒールの先も考えていただくといいんじゃないかと。
山本:男性もよくそれ問われるんですよ。シャベルのようにとんがったビジネスシューズ履いてらっしゃる方もいて。それを指摘すると「いや、好きなんです」っておっしゃるんですね。やはり、それちょっと怖そうに見えるからやめたほうがいいですよと。やはりアメリカンな丸いトゥのようなものがお好きな方もいるんですよ。それ、男性でも甘く見えるので、私はアーモンドトゥっていう言い方を今日初めてお聞きしたので、使いたいなと思うんですけど、よく皆さんにお伝えするときには丸くもなく尖ってもない、中庸な靴をお選びくださいというふうに。
大草:全くその通りだと思います。
山本:そういう意味ではプレゼンテーションのシチュエーションで大事なのは、その企画をきちんとお伝えすることだと。という意味では、男性でも女性でもそれほど心持ちの意味では変わりがないと。ただ女性の場合には、アイテムもいろいろなバリエーションがあったりアクセサリーもあったりしますので、いろいろなアイディアが大草さんからお聞きできましたので、ぜひ参考にしていただければと思いますし、男性もまたそういうルールで着こなしをきちんと考えていくっていうことを、もう一度立ち戻ってやっていきたいと思います。ありがとうございます。
大草:ありがとうございました。