柔らかいけど硬い 硬いけど柔らかい
手に入れないと絶対に味わえない一流品の世界
―――今日は西口さん所有の逸品が色々並んでいるんですけれども、西口さんにとって一流のモノを見極めるポイントをお話いただけますか?
〈一流のモノとは〉
一流のモノというのは世間の評価はともかく自分の思い入れのあるものでもいいと思います。ただ、加えてですね、それを手に入れないと絶対に味わえない世界があるものだと思います。だからすごく高いモノでも二流のモノはあるし、安いモノでも一流のモノはあると思います。
〈一流のモノを選ぶポイント〉
ぼくがモノを選ぶときの基準は色と形、そして、そのものの肌(質感)です。この3つがすごく重要なんですね。
―――素材感みたいなものでしょうか?
良いモノって何というかヌメッとしてるんです。柔らかいけど硬い。硬いけど柔らかいみたいな。
―――例えばそこにある時計は金属のものですが、オーラとしての” ヌメり”がある ということでしょうか。
どうしても人間が身に付けたり、愛でてるものというのは、人間自体が柔らかいですから、そこに親和性がないといけないんです。
―――そこにある唐津ですか。これも何か曰くのあるものだと思うんですが。
これは桃山時代の奥高麗(おくごうらい)と言われる唐津の筒茶碗なんですけれども、これも柔らかいんですよね。だけど非常に良く焼けてて硬い。硬く焼けているけれど柔らかいという、まるで禅問答のような、、、
―――ヌメり感があるんですね。
―――これはSilvano Lattanziだと思うんですが、かなり昔のものですよね?
そうですね。かなり古いです。
―――素晴らしいですね。メダリオンも。
まず、非常にクラシックなフォルムであるということですよね。それとこれだけのパンチングの入れ方ですね。これだけ沢山入れてもまったく破綻していないです。ものすごく美しいと思うんですよ。どうしても体が大きくなってしまって、足も大きくなるんですよ。だから履かずに置いてあるうちに履けなくなってしまったんですけど、これはオブジェのように宝物のように持っています。
―――思い出の一品ということですね。
他に色々なブランドが日本に入ってくるようになりましたが、これだけのクオリティの驚きをもったモノはなかなかないです。
―――西口さんにとって特殊な一品であり、一流品ということですね。
<撮影協力>
TAILOR 羊屋
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営業時間 : 10:00~20:00 (日・祝日定休)
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西口 太志氏 / 会社経営
(にしぐち ふとし、1966年 -)大阪生まれ。
高校時代からアイビーに浸かり、現在、オーナーを務める時計店「
かめ吉」やテーラー「羊屋」をはじめ、こだわりの逸品を扱う傍ら、プライベートでも骨董・美術品への造詣が深く、数々の一流品をこよなく愛する。