―――今日は元シップスの中澤さんにいろいろとお聞きしたいと思います。まずは、中澤さんが洋服に目覚められたきっかけは何だったのでしょう?
幼少期の頃、僕らの時代は兄のお古だったりだとか、そういうものをお下がりとして着る機会が大半だったんですけど、やはり新しい洋服が欲しいっていう欲望があって、その頃から母方の実家が日本橋だったものですから祖父母におねだりをして近所の百貨店で買い物してもらうのが楽しみだったという感じですね。
―――いつの時代かにテーラードスタイルといわれる、ブレザーかな? 興味を持たれたりとか買われたりとかっていうのはいつぐらいのどういうものでしたか?
河合さんがおっしゃったようにブレザーですね。時代背景的にもプレッピーというかトラディショナルというか、そういうものがまた戻りはじめる時代ですかね。
―――スーツの方は?
今の市場に出回ってるスーツの前のやはりアルマーニですかね。イタリアンブームの時に…スーツは一番最初はイタリア系の肩の丸いものでした。
―――今日着てらっしゃるのは?
これは恐らくもう20年位前のニューヨークでマンハッタンに「セント・ローリー」というテーラーがありまして、そこのデザイナーだったエイブリー・ルーカスという彼のコレクションのもので、ルーカス自身に『オマエ、これ着ろ』って言われて、生地からシャツ・タイまで全部チョイスしてくれました。
―――着られるときはどういうことに一番気を付けてますか?
普段スーツは僕の場合、完全に引き算のコーディネートで、ネクタイは一色の無地、そこにシャツとポケットチーフを合わせるとか。それぐらいですね。なるべくあまり足さないスタイルです。
―――なかなかそこまでストイックにいければいいんだけども、時々ちょっと派手なものを着てみたいとか行ったり来たりでね。それが楽しんでいるってことなのかもしれないけど。
そうですね。おっしゃるとおりだと思います。
―――中澤さんにとってのダンディズムとは?
たぶん、自分で決めることではなくて第三者の人が見て判断してくれる。多分そういうことだと思うんですよね。自分でなにかを目指して表現というのは僕の場合はできないかなっていう気がします。
―――心がけていること、生き方でこれは外せないものなどは?
すごい単純ですけど、間違ったことはしたくないなっていうだけですね。
<スタイリング>
スーツ / SAINT LAURIE
シャツ / SAINT LAURIE
ネクタイ / SAINT LAURIE
チーフ / SAINT LAURIE
シューズ / Ralph Lauren