―――大住さんにいろいろお伺いしたいと思うのですが、大住さんのファッションの原点について教えてください。
そうですね。小学校の高学年、6年生頃かな。『平凡パンチ』。世界のユースカルチャー、ファッションも含めてね。それをこう収集するにはですね、なにもなかった訳ですよ。田舎だったこともあって。ヌードグラビアもあったんですけども、一応、小学6年生の身分でですね、隣町の書店まで行って・・・
―――さすがに自分の町じゃ買えない。
自分の町じゃちょっとね・・・そこに小林泰彦さんのイラスト・ルポっていう定期的に連載されていた企画があって、これがきっかけですかね。サンジェルマン・デ・プレ編で、まだ無名の高田健三さんとか、あるいは三宅一生さんがイラストで登場するんですよ。それがダブイルブレストにグレーフランネルと思われるようなパンタロンですね。いわゆるフレアード(パンツ)。それがカッコいいんですよね。
―――それを小学生でカッコいいと思える感性がすごいですね。
いや、ほら。日本人がパリのファッション界でそうやって活躍してるんだというのもグッときますよね。子供心に。
―――では、今日の着こなしのポイントはどういったところでしょう?
なるべく当たり前に、ふつうに。できれば高級な簡素っていうんですかね、望むところは。に見えるようにということで、当たり前な格好をしています。これはなるべくステッチも入れずに、シャツもそうですが特徴的じゃない方がいいなっていう想いがどこかにあるんですね。いずれにしろ個性っていういのは滲みでるもんですから。隠してもね。そういうもんだと思うんで、あえて個性的な格好をすることは、それはそれでいいんですけども、僕はそれはあまり望んでいないということです。
―――大住さんのイメージってこう、なんかシャープな感じもしますし、エレガントな感じもするし、JAPANESE DANDYの時もやっぱりそういう雰囲気で。フレアーのパンツ履いている人はなかなか少なかったですよね。
あれ怪しかったでしょうね。
―――いえいえ、そんなことないですよ。(笑) 大住さんの考えるドレスアップについて聞かせてください。
社交服ですよね。休日とかね、近しい人に会うとかという時には何を着てもいい訳ですけども、社交はそういう訳にはいきませんから。ある程度、お洒落をちゃんと意識しないといけないと思うんですよ。明治以降、「ハイカラ」という西洋のスタイルを積極的に取り入れようとする人たちと、それに対抗するように「蛮カラ」という人たちが登場したんですけれども。それは基本的に学習しないで、ただ単に反抗しているっていう風なことじゃないかなと。そうじゃなくてですね、「ハイカラ」を知ったうえで、だったら自分は「蛮カラ」だなっていう風な表明というかね、それが必要なんじゃないかなと思いますよね。世界を知るっていうか。
―――感性だけじゃやっぱり、ちょっとしんどいなという気はしますけどね。
そうですね。限界がありますからね。感性の元は何かっていうと、それは知識ですよね。教養ですよね。
―――そうです。
<スタイリング>
スーツ / オーダーメイド
シャツ / オーダーメイド
ネクタイ / Made in ITARY
カフリンクス / Tiffany & Co.
時計 / PATEK PHILIPPE “CALATRAVA”
ブレスレット / HERMES “Crescendo”
リング / M.Y.LABEL
シューズ / Corthay
<撮影協力>
ポ ブイユ RESTOVIN Pot-Bouille
〒150-0022
東京都渋谷区恵比寿南2-7-4 クオリア恵比寿サウス1F
TEL : 03-3791-8845
営業時間 : 6:00PM-L.O.10:00PM(土曜~L.O.9:00PM)
定休日: 日曜・祝日