―――デザイナーの高巣満導さんにお聞きしたいと思います。まず、満導さんの洋服の原点についてお聞かせください。
ファッションの原点
この仕事を始めようと思ったのはパリのサンローランとの出会いなんですけどね。あと、renomaというブランドがあるんですけどね、そのブランドに出会った時に「この仕事をしたい、しよう」というのは決定的な瞬間でしたね。
―――70年代ですよね?
70年代後半、ちょうど大学生の頃ですね。海外の商品への憧れというか、日本の商品とずいぶん違うなと思ったのがパターンの違いが圧倒的にあるんですよね。着心地。それでこれだけ差があるものなのかなと思って、学生ながらに借金してでもインポートのものを着まくりましたね。
mandoのコンセプト
―――今、ご自身のなさっている”mando”というブランドのコンセプトについてはいかがですか?
もちろんテーラーが原点なのですけども、だんだんと世の中カジュアルになってきたし、そこでもう少しリラックスした雰囲気のものを提案できないかな。というようなことで、また違った角度でアプローチし始めたっていう感じですかね。
―――いつも拝見してて、満導さんの服って、たしかに”リラックス”って大きなキーワードですよね。
僕が作ってるものっていったら、芯は入っているし、作りとしては非常にクラシックな作りをしているんですけども、そこにいろいろと高圧染色というか、特殊な釜に入れて圧縮で染めているんですよ。それがひとつのmandoブランドの特徴でもあるんですけども。
本日の着こなしについて
―――今日着ていらっしゃるのもご自身のブランドのものだと思うんですけども。
僕が着ているものは、パンツのフロント、センタープレスもないですし、割りとリラックスしたゆるい感じで、シャツも自分とこのなんですけども、キュプラコットンの柔らかい素材になおかつ製品でバイオ加工して柔らかくしているので着心地が抜群なんですよ。
―――シャツの前ボタンもチャイナノットでね。
あんまり目立つのもイヤだなと思って、あえて同色でやっています。
ドレスアップについて
―――満道さんが考える”男のドレスアップ”についての考え方を教えてください。
ファッションて何かっていうと、やっぱり繊細なことだと思うんですよね。そして知性であり品性でありみたいな部分があると思うんです。これが原点なんですよね。だからあんまり着飾るというか、お洒落しているという部分が見えないようなお洒落ができるかというのが素敵な男性じゃないですかね。
―――ひとつでも自分が良いなと思うものを着続けたり、コーディネートし続けるというのはとってもね。
そうですね。今日の僕みたいにこういうインタビューだからネクタイの一つでもしようかなと思っても、やっぱり違和感があるわけですよ。途中までしたんですけどやめたんです。着替えたんです。やっぱりこれが自然体でいいやと。ただ今回の写真集みたいに、テーマがあって何か違う自分を演出したいということになるとまた別だと思います。一生懸命、自分の想いをスタイルに出せばいい。そこにその人のセンスっていうのが出るんじゃないでしょうかね。
<スタイリング>
ジャケット / mando
パンツ / mando
シャツ / mando
メガネ / BARTON PERREIRA
時計 / PATEK PHILIPPE
ブレスレット / Martin Margiela
靴下 / ANTIPAST
靴 / Golden Goose