鎌田氏―――ここはMr.FENICEのサロンなんですが、今日はSEVEN FOLDの加賀さんと、認知症の名医の中野先生に来ていただいてお話を聞かせていただきたいと思います。
PITTI IMMAGINE UOMOから感じる今
鎌田氏―――加賀さんはフィレンツェにも住んでいるとのことで、この頃のピッティの状況というのはどうでしょうか?
加賀氏―――ベーシックという部分で触れていきますと、お客様目線では、自分に合った商品を実際に購入できるかというと喜ばしい部分と難しい面が、非常に対極的に顕れていると思いますね。
鎌田氏―――なかなか落ち着いて商品を見るという感じではないですよね。中野先生どうですか?よくスナップ本なんか出てますよね。今はInstagramとかSNSの世界でもどんどん情報が出てきますが。
中野氏―――ピッティも取り上げられている、華やかなドレッシーな人だけではなくて、会場を訪れている人は、普通の人たちもいるんだなというのがInstagramの画像なんかを見ていると感じます。後はイタリアの方でトレンドになっているものを、プロの目で見て日本でどうやって紹介しているのかというところは興味深く拝見しています。
鎌田氏―――ぼくも昔、アパレルのブランドを持ってやっていたんですが、トレンドどうこうというのも段々違うのかなと感じて、今は自分の気分を表現できればいいのかなと思っていて、基本的にはベーシック、クラシックをはみ出さない。ただ、全くベーシックだとつまらないので、面白さを多少入れつつというのが、最近の気分というか、大人の装いってそこになっていくのかなと。
加賀氏―――そういった意味では今日の一番の主役であるネクタイが大切なキーワードになります。
Tie your Tie
鎌田氏―――加賀さんはネクタイのプロなので、ご説明を。
(画像左から、2本目まで「Atto Vannucci」, 3本目から「ALAN SMITHEE」, 5本目から「Earldom」)
加賀氏―――ざっくりひとまとめに言いますと、素材感が非常に出てますよね。同じレップス系の織りでもヘリンボーンに織り足しているもの、色目でいうとマスタードイエローであったり、ピンクの挿し色を使ったりと、トレンドのカラーを入れている。真ん中のネクタイは、今年の秋冬のトレンドのグレー系の緯糸を使ったネイビー系のストライプ、同色のストライプですね。あとはオーソドックスなマルチストライプのレジメンタル。シルク100%でも非常に表情のあるドット。シルクウールの花のモチーフのネクタイ。特にシルクウールというのは、今年の冬によく使われている素材です。
鎌田氏―――中野先生は、今年はどんな感じのネクタイを?
中野氏―――レジメンタルは取り入れていこうと思っています。あとは小紋、ドット、花柄のものをどのように普段の手持ちのジャケットに合わせていこうかなと。
鎌田氏―――お仕事の時は、白衣の下はタイドアップですか?
中野氏―――そうですね。私たちの世代はやはり、ロングコートの白衣の下はタイドアップしなさいという教育を受けてきたので、患者さんの前に出る時はタイドアップしてお話を聞くと。
鎌田氏―――そういうルールって素晴らしいですよね。
中野氏―――だいぶ廃れてきていますけどね。
鎌田氏―――もう一度見直した方がいいですよね。
Having your own style
鎌田氏―――スタイルを持っている男が格好いいと、昔からぼくらの業界でも言われていると思うんですが、加賀さんはどうですか?
加賀氏―――個人的な意見ですけど、自分にとって何が一番似合っているのか、似合っていないのかというのはすごく大切な事で、自分の色というものをひとつ持つと非常に良いと思います。素材というのは非常に難しいので、自分の得意な色を持っておくこと。あとは、ファッションはその人の生き様なので、人生観がそのままファッションに出ますから、キッチリ生きている人は何を着ても格好いいというのはぼくの持論でして。そういった意味では人生観というのはお洒落にとって一番重要なキーワードかなと思います。
鎌田氏―――中野先生はどうですか?男のスタイルについて。
中野氏―――たしかに自分なりのスタイルを持ちなさいというのは重要だと思いますね。ファッションに関しては、私はスーツよりジャケパンの方が多いので、ジャケパンをどういう風に上手く着こなしていくかというのをキーコンセプトとしています。
鎌田氏―――ぼくは昔からネイビーのストライプが自分のシンボル的なスーツだと思っていて、ストライプのスーツは出張の時などイタリアに行く時も必ず持って行きます。割とベーシックなものがずっと好きですね。昔の映画に影響されたところも強いんですけど。それがだんだん真似っ子から始まって、自分のスタイルになっているような気がしますね。
Message
鎌田氏―――では最後に、今の若い人たち、特に30代の人たちに何かメッセージがあればお願いします。
加賀氏―――やはり、自分のサイズに合ったものを着ることが男としてはお洒落なのではないかなと思います。そこだけはお願いしたいです。トレンドというよりは、あなた自身がブランドになるために30代は第一歩なので、ここに関しては頑張ってもらいたいなと思います。
中野氏―――ネクタイの選び方など、やっぱり20~30代の頃は何を見本に、手本にしていいのか分からないまま普通の量販店に行って買ったものをそのまま使ってたりすると思うんですけど、先ほど加賀さんがおっしゃっていたように素材感だとか、色の合わせ方とか、そういうのを勉強してお洒落に成長していっていただけたらなと思います。
<特別協力>
Atto Vannucci(SEVEN FOLD)
ALAN SMITHEE(栄光堂)
Earldom(アラ商事)
<撮影協力>
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