河合ーーー今日は横浜にある古書店の店主、細川さんに色々お尋ねしたいと思うんですが、
ここは名前のごとくファッション書籍が中心にある本屋なんですけど、どうしてこういう名前を付けられたんですか?
店名の由来
細川ーーーそれはですねツイードという生地が好きということもあるのと、
ツイードが何世代にも渡って引き継がれていくという話を聞いて本にもそういう役割があるんじゃないかと。
長くお客様に愛されるような本を扱いたいという願いを込めて、
服好きというのも合わせてですがツイードブックスという名前にしました。
河合ーーー今日はそういう細川さんに色々お尋ねしたいと思います。よろしくお願いします。
ファッションの原点
河合ーーーまずは細川さんのファッションにおける原体験のお話をお聞かせください。
細川ーーーやはり育った環境という意味では私の父母が服が好きだったということがありまして、母は私に色んなものを着せたがりましたし、父は幼稚園・小学校の綱引きがある運動会にスーツで参加したりして、そういったことをずっと目の当たりにして服が好きになりました。
影響を受けたもの
河合ーーーそんな細川さんが今日のスタイルになるまでに色々影響を受けられたと思うんですが。
細川ーーー中学生の頃は雑誌からの影響がとても大きかったですね。
高校生になってバンドをやるようになってから色々なジャズを聴くようになり、
マイルス・デルヴィスが好きでスーツのスタイルが格好いいなと思ったり、
それと同時に渋谷系が流行っていてフランスのアニエス・ベーなどを買いに行ったり、
古着を買いに行ったりもうあちこち服自体が好きだったので見に行っていました。
細川ーーー出版社に転職したときにスーツを着なければいけないということで、
その時にスーツを色々なお店で試着したんですが自分には何を着ても似合わなくて、
元々本が好きだったので神田などの古本屋をまわった時に、
穂積さんの「アイビーボーイ図鑑」というのを見つけてそれの影響がとっても大きくて。
その本に載っていたグレーのヘリンボーンのスリーピーススーツのイラストを見た時に、
こういう雰囲気で着こなすことが格好いいとまず自分の中にインプットされまして、
この雰囲気の自分に似合うものを一生懸命探そうと思ったのが本を色々読むようになったきっかけですかね。
河合ーーー服から本に行きそれがお仕事に繋がったと。
河合ーーー洋書はどういうものを読まれました?
細川ーーー洋書だとアラン・フラッサーの著作は定番ですよね。
あとは「ジェントルマン」もそうですし。
河合ーーーここにあるアウグスト・ザンダーの本も。
細川ーーー真集は素材感も伝わってきてこういうスーツが欲しいなと思っちゃいますね。
本日の着こなしについて
河合ーーー今日はブラックフリースのスーツということなんですが、
そのコーディネートについて少しお話を。
細川ーーーブルックス・ブラザーズのスーツを買うようになったのはマイルス・デルヴィスがきっかけです。
でも身体に合わないなと思っていたところにトム・ブラウンが登場してブラックフリースが出て、自分に合う既製品のスーツがあるんだと思い、
それからはブルックス・ブラザーズのトム・ブラウンがデザインしたブラックフリースを愛用しています。
アメリカのスーツなんですがネクタイはTIE YOUR TIE で国を変えてみたり、
靴もフランスのウェストンにしてみたり。
ちょっと自分で遊んでみてコーディネートを考えました。
ファッションの楽しみ方
河合ーーーライフスタイルと共にファッションも変わってくると思うんです。
現在の古書店の店主ということにおけるファッションの楽しみ方はあるんでしょうか?
細川ーーーお客様ありきの商売ですのでどうしても信頼ということにが頭にあり、
そこだけは外さないようにと考えています。
ただスーツを着るサラリーマンだった頃よりは、羽目を外したというか自由が増しますので、たとえばコンビの靴を履いたてみたり蝶タイをしたり。
YOHJI YAMAMOTOの真っ黒い格好をしてみたり、逆にネイビーでカチッとしてみたり。
そういうことを色々やっているうちに お客さまも「この人は色々な格好をする人なんだな」、「今日はリラックスした格好だね」とか「今日はばっちりスーツなんだね」とかお客様の反応もあったりして 服の着方は楽しんで生活しています。
河合ーーー日本一格好いい古書店のご主人だと思いますよ。
細川ーーー河合さんにそうおっしゃっていただけると嬉しいです。ありがとうございます。
ドレスアップについて
河合ーーー最後の質問なんですが、ドレスアップということについて細川さんのお考えを。
礼儀作法で合ったり色んなことがあると思うんですが、
特に細川さんの同世代である30~40代の方に向けて何か思うところがあれば。
細川ーーー礼儀作法などももちろん大事なんですが、まず装いの面では色々試してみるのが大事だと思います。
実は装いというのはどんな格好をしていてもいいんじゃないかと思っています。
ただどんな格好をしてもいいけどというところに一定のラインがあると思うんです。
その一定のラインというのはどうしても理論的に勉強しなければいけないところなので、
そこを私は試行錯誤の30代の時に学んだんじゃないかなと思っています。
今でももちろん勉強中でそれが引き続きこれからも続くと思うととっても楽しみです。
河合ーーー服ってすごい深い部分もあるし、表面的な浅い考えの上に成り立つものでもあるし、
そういう面白いものではありますよね。
細川ーーーそうやって少しずつ自分に似合うものを見つけて着ていけば、
それが一般的に言う派手だったりかぶき者と言われる格好だったとしてもお客様の信頼は得られて、「あの人はああいう格好をしてるけどちゃんとした人だよね」とか信頼は得られるんじゃないかなと。
自分の好きな格好をすることでもダンディズムというのはは成立するんじゃないかと思っています。
<スタイリング>
スーツ:Black Fleece(Brooks Brothers)
シャツ:Black Fleece(Brooks Brothers)
ネクタイ:Tie your tie
チーフ:Mungai
靴:J.M WESTON
<撮影協力>
Tweed Books
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