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繊維の町・毛布の町として知られる大阪・泉大津市で創業100年。紡毛紡績から染色整理までを一貫して手がけている“大津毛織株式会社”。企業精神に「世界一の紡毛屋を目指して —作り出す価値によって人々に驚きと感動、そして満足を提供する— 」を掲げ、原料選定から糸を紡ぎ、織り・編み・染め・表面加工にいたるまで、100年に及ぶ歴史のなか積み上げてきたノウハウを活かしたものづくりで、新しい価値を生みだしている。
染色整理とは、織りあがり・編みあがりの反物(生機(きばた))から汚れや油を取り除き、洗うと同時にハリ・コシ・ヌメリなど目的の風合いに整え、染色し、艶や毛羽の長さなどの外観を整えることをいう。生機の状態と製品では感触が大きく異なるため、風合いを表現する重要な工程である。
工場内には巨大な機械が所狭しと置かれ、反物を染める染色機が並ぶ通路には、熱い蒸気がむんむんと立ち込めるなか黙々と作業をする職人の姿がある。染め上がった反物を乾燥させるための機械が、ゆっくりと波打ちながら揺れ動く様は振り子のようで見る者を飽きさせない。こうして、役目の異なるいくつもの工程を経て、目的の風合いを生みだしていく。
素材のもつ特性を活かすことはもちろん、これらの機械を使用し、幾通りもある組み合わせの中から、目的の風合いを生みだすには長年携わってきた職人の経験値がものを言う。どの工程においても最終的には“人間の目”で判断することが重要であり、品質の良さだけではない、技術力を生かした新たな価値をプラスしたものづくりがなされている証だ。
2015年3月には日本製の品質の高さを証明するJ∞QUALITY企業認証を取得し、その技術力はアパレルをはじめとする各社の製品となって反映されている。協力工場の“丸三”では、丸編み機を使用したアルパカ・アンゴラ・カシミヤなどの高級ニット生地の製造を手がけ、大津毛織の「表面的な良さではなく本当に良いものを追及する」という姿勢の一端を担っている。
時代の波を乗り越え、受け継がれた伝統と新しい技術を融合し、新しい価値を生み出すための挑戦はこれからも続いていく。歴史を刻む三角屋根から差し込む光には、先人たちが紡いできた想いと「人を大切にする」心が映しこまれている。